生命の増殖とカンブリア

生命の多様性という言葉を遡って最も想起するのが容易であるのは、その現在に至る進化の過程において不可思議と特異性に満ち、また「生命のビックバン」と呼ばれるほど爆発的な生態系の変貌、増加に至ったカンブリア紀ではないだろうか。 アノマロカリス、サ…

科学史への問い6

科学史という分野は教育的学問であるという所感を持つ。 本来、科学というのは一つの事実であり、科学という分野における絶対的な正解である。 しかし、その絶対的すぎる性格ゆえに、理解しなければいかない側がついていくことができないという、独走的な性…

科学史への問い5

また、実例を取り上げるのは、プロセスそのものを教えることができるという点でも教育的価値があるいえるだろう。 理論はともかくとしても、考え方という点においては教えることが困難であるし、個性という壁で割り切られてしまう。 経緯に基づいてこういう…

科学史への問い4

さて、ここまででそもそも理科とは理解のための科学におけるその一部なのであるという考えに到達した。 理科にとって本来大切なことは、学問の内奥ではなく理解することにあるのだ。 科学史という分野はまさに理解するという観点で論ずると、非常に大きな役…

科学史への問い3

しかし、それは理解するという観点においてはいささか困難な事象であるということは否めないであろう。 それは小学生に専門書を読めといっているのと同じことだ。 記憶は可能かもしれないがそれは機械的なものでしかない。 理解あっての記憶ではないのだ。 …

科学史への問い2

科学という学問が、学問全体を通してどのような位置に位置付けるべきかを考え、私自身の科学という学問に対する位置づけを明確にする必要がある。 科学は、あくまで「学」という大きな概念の一分野に過ぎない。 より根源的な意味での学問は、根源的であれば…

科学史への問い1

歴史という時間軸は相互方向にあるものではない。 常に未来から過去に向かって走らされている時間軸である。 過去という、過去においては現在という時点において未来を空想することと、未来から過去を空想することとは全く別個のものであるという認識が必要…

情報と科学について4

教育と疑問: つまるところ、現在の理科教育法の論議そのものが茶番であるといえるだろう。科学が人間の一方的な営為に過ぎないということを考えることなしに、そもそも科学も自然すらも捉えることはできないのだ。抽象的理解能力が高いとされる大人でさえそ…

情報と科学について3

科学と科学的思考: 同時に、科学と科学的思考の違いという点でも考えなければならないだろう。科学というのは、万能でもなければ、絶対でもない。そもそも、人間の生み出した言語という観点で捉えられない世界のあり方が、本質的なはずはない。つまるところ…

情報と科学について2

自然観:筆者は著書の中で、そもそも科学に関する教育と自然に関する教育は分化して考えるべきである、と述べている。何故ならば、科学教育というものは西洋に端を発し、すべからく自然観自体が西洋文化にほだされたものであるが、日本独自の自然観に基づか…

情報と科学について1

さて、現代において教育以上に影響力を誇り得るものが実は存在している。我々は気付かないままに、その影響を受け続け、ひいてはあたかもそれが真実であるかのように向き合ってしまっている。マスコミュニケーション、その最も日常的なものである、テレビな…

他人を見下す若者たちの考察補完

共感性と自分の揺らぎ 私は共感性がなくなったのではなく、唯一無二の自分の存在を信じることが出来なくなったがゆえに、共感している自分にすら自分が持てないような、自信喪失した若者の姿が背景にはあるのではないかと思う。共感はある種、自分の個性を失…

他人を見下す若者たちの考察補完

防衛機制と仮想的有能感 仮想的有能感は防衛機制でいうと、全体的な面では『補償』が最も近い。補償とは自分の弱点や劣等感をカバーするために、他のことで自分の長所を誇張して優越感を得ようとすることである。仮想的有能感によってもたらされる行為そのも…

他人を見下す若者たちの考察補完

防衛機制(ディフェンス・メカニズム) では、防衛機制理論を用いて、仮想的有能感について考えてみよう。防衛機制理論が相応しいと感じたのが、防衛機制理論は個別に当て嵌めても全体に当て嵌めても、あまり差異なく使用できる考え方であるからである。では…

他人を見下す若者たちの考察補完

はじめに 私は速水氏のいう仮想的有能感という理論に納得ができないのではない。また、自分自身の耳に痛いから、批判的な立場を選ぶ内発的な動機になったというわけでもない。この『他人を見下す若者たち』全編の内容では、仮想的有能感を持つものたちの実際…

病理と心理

「死は敗北か。病気から目を背けることは間違いなのか。癌を病気ではなく、寿命だと思う私は未だ、病院に対する態度を決めることはできない。」 「社会医学」・「乳児をまもる」・「こころとからだ」・「施設から地域へ」・「老いと介護」・「死の受容」を一…

クッキーと役割

「役割に従事するのは不幸と言われがちだが、自分の役割を知った上でその役割に従事するのと、役割に気付かないまま自分の役割を遂行するのは不幸の質が違う。大切なのは自分の役割を捨てることではなく、自分の役割を自ら得ることだ。そうでなければ、役割…

命と環境

「自然に生きる人間は、自然を破壊されることを忌避する。都市に生きる人間は都市を破壊されることを忌避する。だが忘れてはならないのは、都市は再生させるものであり、自然は再生するものであり、自然は人為によっては再生することはないものである。」「…

社会と平等

命とは何か。 この人類全てに生来課せられた宿題に対する、明確な答えは未だ存在しない。大切なもの。何にも変えられない最高の喜び。何とでも言える。 人は命の平等とその神聖さ、不可侵さを叫び続けている。神という絶対的な宗教観を科学によって失った人…

DNAと未来

4、情報化する臨床 さて、技術躍進に伴い、臨床で行なわれるべき実験も、DNAのデータによる、いわば机上の実験に様変わりするのではないだろうか。 DNAの最大の特徴として、DNAを人間が読み解くにあたり、それはコンピューター以外にはありえない。 穿った…

DNAとセンサー

3、バイオセンサー技術 例えば、個人バンクなどでは現在は指紋照合よりも、網膜照合の技術が取り入れられ始めている。 これは生物感知器(バイオセンサー)の技術であり、今まではDNAはバイオセンサーによって読み取られる側だったのが、現在では変化してい…

DNAと論理

2、この事実に関する考察 上記で挙げた方法は、単純でありながらも複雑な遺伝子について、ひいてはDNAについての知識の前提なしには成立しえないものである。 事実、私も本講義を受けるまでは単にDNAを暗号に利用できるくらいのことしか理解が及ばなかった…

DNAと塩基

1、トピックスについて 私が今回取り上げるトピックスは、「2000年3月13日、インテル・サイエンス・タレント・リサーチで優勝したビビアナ・リスカの行なった発明について」である。この一つのトピックスから、DNAと情報化社会について模索していくもの…

学習指導案「やまなし」3

9. 単元計画 第1次:全体の検討(2時間) 第1時○児童による音読 作品世界に触れるために、声に出して音読させる。 一文ずつ交代していく形で、できるだけ全員が作品世界に触れられるように留意する。○朗読者による音読 プロの朗読者による朗読を聞かせ、…

学習指導案「やまなし」2

6. 児童観 本学級の児童は、状況を的確に捉えて、自ら規則を守ることができている。また、落ち着きをもって学習に取り組み、根拠を以って物事を判断することができる。しかし、反面、目立つような行動を控える傾向があり、正解のはっきりしない問いに対して…

学習指導案「やまなし」1

1. 日時 2008年 2月30日(土)10:50−11:35 2. 学年/組 6年2組 3. 単元名 「作者と向き合える読者になろう」 4. 教材名 『やまなし』(宮沢賢治作 光村図書6年上) 5. 教材観 ○作者に沿った読み方、雰囲気を味わう読み方、読者的視点からの読み方。 『やまな…

読書ログ

論理は往々にして、単純なほど否定を困難にする性質を有している。 例えば『私は神である』という論理は、『神は全能であり、私は全能である。ゆえに私は神である』という論理よりも遥かに単純であるのに、否定するのは困難である。限定される要素、つまり相…