科学史への問い5

 また、実例を取り上げるのは、プロセスそのものを教えることができるという点でも教育的価値があるいえるだろう。

 理論はともかくとしても、考え方という点においては教えることが困難であるし、個性という壁で割り切られてしまう。

 経緯に基づいてこういう考えからこういう考えに至った、という発想の転換を子どもに伝えるという意味合いにおいても科学史は大きな役割を果たすといえる。

 理論だけでなく、理論体系をもその範疇に含むということは、考え方そのものの幅を広げることができるのではないだろうか。

 方法論そのものを実例に基づいて学べるのである。

 科学においてはとにかく理論の暗記が重視されてきた傾向にあったが、科学史はその考え方にさえメスを入れることができる試金石としての役割をも果たせるであろう。