科学史への問い4

 さて、ここまででそもそも理科とは理解のための科学におけるその一部なのであるという考えに到達した。

 理科にとって本来大切なことは、学問の内奥ではなく理解することにあるのだ。

 科学史という分野はまさに理解するという観点で論ずると、非常に大きな役割を果たすといえるだろう。

 科学史というものは、共感的学習の一種であると考えることができる。

 実験で実際にその理論を行うことによって、理論を発見した科学者と、その理論を通して繋がることができる。

 つまり、科学者と理論を通して繋がることによってより理論を理解しやすくなるという考え方、それが共感的学習である。

 なぜ共感が理解に有効なのかは無論、言うまでもないが、理科における共感の特徴は、同じく理論を発見したことによって生まれる共感という、理論共有型であることだといえるだろう。

 そして、自分自身もその理論を実験することによって、体験的な共感も得ることが出来る。

 知識的な記憶だけでは留まらない、生きた記憶として保存できるのである。