DNAと論理

2、この事実に関する考察

上記で挙げた方法は、単純でありながらも複雑な遺伝子について、ひいてはDNAについての知識の前提なしには成立しえないものである。

事実、私も本講義を受けるまでは単にDNAを暗号に利用できるくらいのことしか理解が及ばなかったが、PCRによるDNA増幅反応の知識や、塩基配列における記号的な側面をある程度理解して、もう一度読み返してこの文章の意義を読み取ることが可能になった。

つまり、私がいいたいのはDNAの世界というのは、今現在においては判る人にしか理解が及べない領域であるということである。

このDNAの暗号が示唆しているのは、DNAという専門知識を、その特性においていくらでも生かすことができる技術が追い付いてきているということである。

また、今回提示した内容の最大の特徴は、コンピューターの世界である0の世界に、1というDNAを組み込んだ上に応用させるというバイオコンピューターの機能を持たせようとした点が最も興味深いと思われる。

この技術はDNAコンピューティングというものであり、0と1の二進法でしか現されないコンピューターの世界へDNAという要素を組み込むことによって、コンピューターにとっては複雑な暗号式や計算を理論上で簡単に行なうというものである。

つまり、これは0と1の狭間の世界にDNAという要素が到達したといっても過言ではないだろう。

いわば、これが生体コンピューターと呼ばれるものの、発展の過程であるのかもしれないのである。