クッキーと役割

「役割に従事するのは不幸と言われがちだが、自分の役割を知った上でその役割に従事するのと、役割に気付かないまま自分の役割を遂行するのは不幸の質が違う。大切なのは自分の役割を捨てることではなく、自分の役割を自ら得ることだ。そうでなければ、役割を捨てることすら役割として堕落するだろう」

「人間として」・「学校がモノサシ」は内容が根本的に似ている、と感じた。どちらも共通して言えるのは役割からの脱出、定められたものからの自我の芽生え、という点だ。

この節を読みながら、クッキーを作る作業を思い出した。木地を麺棒で伸ばし、広がったら型を使って木地に穴を空けていく。

 無論、力押しでは上手く型はとれない。微妙に崩れたり、千切れたりしながらも出来る。考えたいのはクッキーではやり直しが効くが、生徒ではやり直しが効かないということだ。

 だから、その生徒・生徒にあった型を苦心しながら探す必要があるだろう。

「私はよく人を真水に喩える。生まれた瞬間、真水は汚され、様々な色に染まり、もう元に戻ることはない。「もし〜だったら」という思考は単なる現実逃避に過ぎない」