情報と科学について3

 科学と科学的思考:

同時に、科学と科学的思考の違いという点でも考えなければならないだろう。科学というのは、万能でもなければ、絶対でもない。そもそも、人間の生み出した言語という観点で捉えられない世界のあり方が、本質的なはずはない。つまるところ、突き詰めれば科学は人間に始まり、人間に終わる。人間に理解できるように作られた設計図、それが科学である。それ以上でも以下でもない。

 対して、科学的思考はどうか。科学的思考は、論理性に基づいた思考回路のことであり、つまるところ、説得力のある回路で構成されたのが科学的思考である。つまり、自分自身が“情報”という世界から、“思考回路”というシステムで認識し、更に“仮説”という計算で答えを出す。それが科学的思考であり、つまり、判り易く世界を解釈するというのが、科学的思考の真骨頂であるといえるだろう。

 つまり、忘れてはならないのは、あくまで科学というのは人間が人間のためにつくった理論であり、観念であるということである。哲学も同様であり、つまり西洋の最大の特徴は、プロタゴラスの「人間は万物の尺度である」という言葉にも代表されるように、人間のためである、ということなのである。


 自然と科学:

筆者の述べる自然に関しての考察の間でもっとも重要なことは、私が上記にあげた以上に自然という概念は様々な姿で存在していることである。つまるところ、理科教育の小学校学習指導要領で端的に「自然」という風に表現したのは、その様々の意味における意味での自然を教えるべきであろうということであると筆者は解釈している。

 では科学における自然は今まで考察されてきたか、自然における科学という観点で考えるとどういう発想にいたるだろうか。簡単なことである、自然における科学というのは、人間という観点に基づいた一方的な押し付けでしかない。