学習指導案「やまなし」2

6. 児童観

 本学級の児童は、状況を的確に捉えて、自ら規則を守ることができている。また、落ち着きをもって学習に取り組み、根拠を以って物事を判断することができる。しかし、反面、目立つような行動を控える傾向があり、正解のはっきりしない問いに対して積極的に答えようとしない、という児童が多い。

自分の意見や気持ちよりも、正解であるかないか、必要か不必要か、といったことを基準にして判断しがちである。また、自ら進んで授業に参加しようと意思表示をする児童が決まっているように見受けられる。国語という教科に対しては、下読みや漢字調べを自主的にしっかりと行うなど、意欲的に取り組んでいる。


7. 指導観
 本単元は『やまなし』を主教材とした教材単元として構想する。

『やまなし』は一読しただけでは、理解するのは困難である。

音読の後、疑問に思った点や、気になった表現、良いと思った表現を書かせる。

発表の上で初回の感想を書いてもらい、率直なクラスメイトの感想を共有することで、どこで躓いたかという不理解を共有する。(第一次)

 題の意味を検討する。何故やまなしなのかという疑問を検討することで、作品に対しての理解を深める。

この段階では答えを出すことを求めず、それぞれ何故題がやまなしなのか、理由を見つけることを目標にする(第二次)。

その次に、何故五月と十二月という形で表現されているかを取り上げたい。二つの異なる時間軸が、対比的で構造的な効果をもたらしていることをわからせるように導きたい。

その上で、それぞれの対比について場面で学習し、その対比がどういうものを象徴しているかを考える(第三次)。

また宮沢賢治の思想や人生、やまなしが書かれた当時の作者の背景に触れる(第四次)。そうして対比がどのような象徴を解釈したものかを検討させて、最後にもう一度なぜこの物語の題がやまなしなのかを自分なりに解釈できる段階まで導きたい(第五次)。

宮沢賢治の背景を考慮に入れるか入れないかは児童の自由とする。


8. 単元目標

 ○作者の背景や思想を理解した上で、それに基づいた考えと基づかない自分自身の考えを選択することができる。

 ○様々の対比的表現を発見し、象徴するものを自分なりに考える。

 ○音読において工夫した表現方法を用いた読みができる。

 ○情景をイメージできるようになる。