学習指導案「やまなし」3

9. 単元計画
第1次:全体の検討(2時間)
 第1時

○児童による音読
  作品世界に触れるために、声に出して音読させる。
一文ずつ交代していく形で、できるだけ全員が作品世界に触れられるように留意する。

○朗読者による音読
  プロの朗読者による朗読を聞かせ、気になった表現やいいと思った表現に線を引かせる。

それを発表させた上で、一読した限りで感じたこと、疑問に思ったことを書かせる。宿題として、提出してもらう。

 第2時

○疑問・意見の共有
  感じたこと、疑問に思ったことをまとめたプリントを配布し、意見を共有させる。

様々な疑問があることを紹介した上で、指導者からどうしてやまなしという題になったのだろう、という疑問を投げかける。
 
第2次:題・構造を検討する(1時間)
第3時
○題・構造の検討
  班ごとに話し合わせ、それぞれの意見を元に一つずつ発表させる。そこで一応の理由付けをそれぞれに得させた上で、最後にこの題がやまなしであることを自分なりに解釈できるように目標付けた上で、何故『五月』『十二月』と二つのパートに分かれているかを考えさせる。


第3次:対比的検討(3時間)
 第4時
 ○構成の検討
 『五月』と『十二月』、二つのパートで構成されている理由を発表させる。

 ○対比を探す
 『五月』と『十二月』は何かを対比しているのではないか、という結論に辿り着かせるとともに、『五月』と『十二月』にはどんな対比が隠されているか、できるだけたくさん探してノートに書き出すという活動を行わせる。

 第5時
 ○対比の検討
 発表によって意見が出されたそれぞれの対比を検討する。

 第6時
 ○対比と象徴
 前回の授業で浮彫りとなった対比的表現をそれぞれ検討していくとともに、『五月』と『十二月』がどういう対比で描かれているのかを考えさせる。また、『五月』と『十二月』でどう表現が対比されているかを考えさせる。また、対比していることで何が象徴されているかを考える。どんな五月はどんな世界で、十二月はどんな世界であるかの対比を言語化して自分なりの意見を発表させる。


第4次:作者に触れる(1時間)
 第7時

○作者の人生
 宮沢賢治という人物について学習する。作品が書かれる少し前に妹のトシが亡くなっていることを情報提示して、その上で『春と修羅』よりいくつかの詩を抜粋して『永訣の朝』『無声慟哭』をプリントとして配布する。宮沢賢治というのはどんな作品を発表したか、どんな人生を送ったかを調べさせる。


第5次:象徴と『やまなし』という題について(2時間)

 第8時

 ○象徴の検討
 第一時において疑問点として挙げられた点で解消していない部分に光を当てる。宮沢賢治の思想や生き方を参考にしながら、クラムボンという言葉やイサドという言葉は何を象徴しているか、その他登場した存在は何を象徴しているかを考え、検討し合う。
 
 第9時……(本時)
 ○題と象徴の解釈
 これまでの授業を通して、自分の意見として登場した存在が象徴しているものは何か、どうしてやまなしという題であるのかを考え、まとめる。最後に『やまなし』の情景をイメージしながら全員で一文ずつ音読する。